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フィールドワーク

第7回フィールドワーク2023冬~黒谷和紙

2023年2月25日(土)

京都府綾部市へ黒谷和紙について学ぶフィールドワークに出かけました。

最初に黒谷和紙会館2階の展示室で説明を受けます。展示品の中にはさまざまな種類の紙や製品のほか、最も古い紙だという430年前の文書もありました。

谷あいの集落の真ん中を流れる川に沿って歩き、工房へ向かいます。

工房の前には川から引き込んだ水路があり、紙の原料となる楮(こうぞ)を水にさらし、洗う作業をする場所になっています。楮は秋に収穫するので、作業は冬の寒い中おこなわれるとのことです。

 

 

楮からさまざまな工程を経て、紙のもととなる紙素(しそ)を作っていきます。

そして紙漉き。黒谷では「土佐揺り」と呼ばれる技法に特徴があるそうです。この技法が、もっとも丈夫だといわれる黒谷和紙の強さを生んでいるのではないかとのことです。職人さんは注文に応じて厚みを細かく漉き分けるそうです。

このあと重しをして水気を絞り、乾燥(機械乾燥/天然乾燥)を経て、製品になります。

強くて丈夫な黒谷和紙

黒谷和紙は、強く丈夫で長持ちというのが特徴で、古くは傘や提灯などの強度を求められる用途から始まって、養蚕業などの産業を支える紙を大量に供給するようになったのち、美術工芸用の紙も供給するようになり、近年は着物や座布団カバーなど様々な加工品にも活用されています。それぞれの用途に適した厚みや質の紙を注文に応じて少量多品種生産する産地になっており、手漉きでありながら、アート的な工藝品ではなく、あくまで産業として高品質の紙を生産していると言えそうです。

もちろん様々な文化財を支える紙としても使用され、二条城や桂離宮などで使われたり、東大寺二月堂の修二会(お水取り)の椿になっていると教えていただきました。

 

集落では、中央の川を挟んで両側に家が立ち並び、今も軒先に楮を干す光景が見られるように、かつてはほぼ全ての家が川の水を引き込んで工房を構え、紙の生産を行っていたそうです。個人的な感想ではありますが、集落全体が近世の産業都市といってもいいのではないかと感じました。

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