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研究会案内

about our association

理事長からの挨拶

President’s Message

文化遺産信託研究会
理事長 福原 成雄

2022年度から文化遺産信託研究会の理事長を仰せつかりました福原成雄(ふくはらまさお)です。

文化遺産信託研究会は、2020年8月24日に設立総会を行い発足、35年間の長きに渡り英国ナショナル・トラスト会員として活動された田淵結前理事長が立ち上げからご尽力され、それは、多くいらっしゃる会員の皆様ご自身の身近な「文化遺産信託」への理解を深めることへのお手伝いができればという想いからスタートされたとお聞きしております。

本年3月8日に田淵結前理事長からご丁寧な封書をいただき、「研究会としての姿勢を明確にし、専門面を発揮した活動を進める段階、理事長の任期は原則2年で担うという方針」とのことでお引き受けいたしましたが、今はその重責に身の引き締まる思いです。

私自身の英国との関係は、1995年公益財団法人都市緑化機構依頼による「英国王立キューガーデン日本庭園設計、施工監理」に始まり、2001年在英国日本大使館依頼による「2001年チェルシーフラワーショー出展日本庭園設計、施工監理」、さらに英国ナショナルトラストが管理する「タットンパーク日本庭園修復設計、施工監理」、英国王立ウエールズ植物園依頼により「ウエールズ植物園日本庭園設計、施工監理」、2004年英国王立ウィズリーガーデン依頼による「ロックガーデン改修設計、施工監理」を行いました。

2014年からは、Cowden Castle SCIO(スコットランド慈善法人団体)依頼によるコーデン城日本庭園復元設計、施工監理を現在も継続しています。

2005年からは各々の庭園で日本文化を紹介する催し(ワークショップ)を定期的に開催し、維持管理指導も行なっています。

また、私が所属する公益社団法人日本造園学会では、平成23年(2009年)度日本造園学会関西支部大会にて、「庭園の『緊急性』を考える−失われつつある身近な庭園について−」の発表を行ないました。平成22年(2010年)度に行った「地域伝統文化総合活性化事業藤井寺市内所在史跡名勝など文化遺産活性化事業」に参加し、大阪府下の文化財担当者との意見交換から痛感した、身近なお屋敷と庭園が次々に姿を消しているという現実を多くの仲間に伝えたかったのです。平成28年(2016年)度からは、大阪芸術大学教育研究補助費を活用して、大阪府下の名勝庭園(未指定)を調査し、どの様な形態、庭園手法によって作られたのか、庭園が現代の庭園文化にどのような影響を与えたのかを整理し、さらに、各地で行われている文化財庭園の復元方法、保存活用整備方法についても調査を行い、名勝庭園の復元、保存活用整備の実態を明らかにするために「大阪府下における名勝庭園についての調査研究」を開始しました。この調査活動等により、大阪府、堺市、岸和田市の文化財保護審議会委員を委嘱され、文化財庭園の調査、指定、修復指導ができるようになりました。

文化遺産信託研究会はナショナル・トラスト運動に関わる各種領域を民間の組織力によって調査研究、保存修復技術、維持管理手法を学び実践を行うとして具体的な活動が希求されています。私が今まで国内外で調査、修復、維持管理する中で見聞きし、感じたことが文化遺産信託研究会のお役に立てればと思います。

田淵結前理事長から引き継ぎました「研究会としての姿勢をより明確にし、その実質を深めて行くべき段階であり、より近い専門面において本会の性格をより発揮できる方向性」について皆様と共に考え、本研究会の活動がより具体的に、より多くの方々の理解を得て発展してゆけますことを願っております。

そして皆様のご活躍のお手伝いが出来ましたら幸いです。

2022年度からの活動をどうぞよろしくお願いを申し上げます。

文化遺産信託研究会 理事長 福原 成雄
(大阪芸術大学短期大学部客員教授)